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ハッカーの視点から学ぶペネトレーションテスト(3) ハッカーの手法とツール

ペネトレーションテスト&バグバウンティペネトレーションテスト

ハッカーの視点から学ぶペネトレーションテストの第三回目は「ハッカーの手法とツール」です。

ハッカーの視点から学ぶペネトレーションテストの構成について

この「ハッカーの視点から学ぶペネトレーションテスト」の記事は、長編になるため、以下のように記事を分割して構成しています。
 
3.ハッカーの手法とツール (←この記事です。)
 
順次、記事をリリース致します。
 
 

ソーシャルエンジニアリングの基本

ペネトレーションテストにおけるハッカーの手法とツールの一つとして、ソーシャルエンジニアリングが重要な役割を果たします。ソーシャルエンジニアリングは、人々の心理や信頼を利用して情報を収集し、システムにアクセスしようとする技術または手法です。
 
ソーシャルエンジニアリングは、技術的なセキュリティ対策だけでは防ぎきれないセキュリティリスクに対抗するために重要です。組織は従業員に対してソーシャルエンジニアリング攻撃への警戒心を高める訓練を提供し、セキュリティ意識を向上させることが不可欠です。
 
以下に、ソーシャルエンジニアリングの基本について説明します。
 
(1)フィッシング攻撃
 
①定義
フィッシング攻撃は、偽のウェブサイトや電子メールなどを使用して、被害者に偽の情報を提供し、個人情報や認証情報を詐取する詐欺的な手法です。一般的に、被害者は正規の組織と誤認し、情報を提供します。
②手法
フィッシング攻撃者は、リンクを含むフィッシングメールを送信し、被害者を偽のウェブサイトに誘導します。このウェブサイトは通常、本物のウェブサイトとそっくりに見えますが、情報は攻撃者に送信されます。
 
③ツール
フィッシング攻撃には偽のウェブサイトやメールを作成するためのツールが使用されます。一例として、フィッシングキットやフィッシングフレームワークが挙げられます。
 
(2) プリテキスト攻撃
 
①定義
プリテキスト攻撃は、攻撃者が信頼性のあるフリを装って被害者に接触し、情報を収集またはアクセスを試みる手法です。攻撃者は信頼性のある偽の理由(プリテキスト)を提供し、被害者を欺きます。
②手法
攻撃者は電話、メール、ソーシャルメディア、または対面で被害者に接触し、信頼を築こうとします。例えば、ITサポート技術者や社内スタッフのふりをして、情報を詐取しようとすることがあります。
 
③ツール
プリテキスト攻撃には特定のツールは必要ありませんが、ソーシャルエンジニアリングの手法として悪用される可能性があるツールや情報収集ツールが使用されることがあります。
 
(3) テールゲート攻撃
 
①定義
テールゲート攻撃は、誰かがセキュアなエリアに入る際に、認証をバイパスして侵入するためにソーシャルエンジニアリングを使用する攻撃です。攻撃者は正規の従業員として振る舞い、認証を求められないようにします。
②手法
攻撃者はビルやセキュアエリアの出入口で正規の従業員と一緒に入場しようとし、信頼を得てセキュアなエリアに侵入します。これにより、セキュアなエリア内で様々な悪事を行う可能性があります。
 
③ツール
テールゲート攻撃に特別なツールは必要ありませんが、攻撃者は信頼を築くために人間関係やコミュニケーションスキルを利用します。
 
 

フィッシング攻撃と対策

ペネトレーションテストにおけるハッカーの手法とツールの一つとして、フィッシング攻撃が使用されることがあります。フィッシング攻撃は、攻撃者が偽の情報を用いて被害者から個人情報や認証情報を詐取しようとする手法です。
 
フィッシング攻撃は組織にとって深刻なセキュリティリスクとなることがありますが、適切な対策を実施することでその影響を軽減できます。従業員の教育とテクノロジーの組み合わせによって、フィッシング攻撃への対抗が可能です
 
以下に、フィッシング攻撃とその対策について説明します。
 
(1) フィッシング攻撃の手法
 
①フィッシングメール
攻撃者は、偽装された電子メールを送信し、被害者を偽のウェブサイトに誘導します。このウェブサイトは通常、銀行、社内のアカウント、オンラインサービスなどの信頼性のあるものと見せかけられます。
②スピアフィッシング
攻撃者は特定の個人や組織を狙い、カスタマイズされたフィッシングメールを送信します。これにより、攻撃の成功率が高まります。
 
③ワールドワイドウェブフィッシング
攻撃者は偽のウェブサイトを作成し、リンクを含むメールを送信して被害者を誘導します。被害者がウェブサイトにアクセスすると、情報が詐取されます。
 
(2) フィッシング攻撃の対策
 
①教育とトレーニング
従業員に対してフィッシング攻撃のリスクとその特徴について教育とトレーニングを行います。従業員は偽のメールやウェブサイトに注意を払うように意識を高める必要があります。
②メールフィルタリング
メールシステムにメールフィルタリングソリューションを導入し、悪意のあるメールを検出し、スパムやフィッシングメールをフィルタリングします。
 
③二要素認証
重要なアカウントには二要素認証を導入し、認証のセキュリティを強化します。これにより、盗まれた認証情報の悪用を防ぎます。
 
④ウェブフィルタリング
ウェブフィルタリングソリューションを使用して、不正なウェブサイトへのアクセスを制限します。有害なウェブサイトへの誘導を防ぎます。
 
⑤セキュリティソフトウェア
最新のセキュリティソフトウェアを導入し、マルウェア対策やフィッシング詐欺の検出に役立てます。
 
⑥ウェブブラウジングの注意
従業員には、不審なリンクをクリックしないよう、ウェブブラウジング時の注意を促します。
 
⑦セキュリティポリシー
組織内にセキュリティポリシーを策定し、従業員がセキュリティベストプラクティスを遵守するよう促します。
 
 

ゼロデイ攻撃と対策

ペネトレーションテストにおいて、ハッカーが使用する可能性のあるゼロデイ攻撃に対抗するための対策は非常に重要です。ゼロデイ攻撃は、セキュリティの脆弱性が一般には知られておらず、攻撃者がその脆弱性を利用して攻撃を行う場合に発生します。
 
ゼロデイ攻撃への対策は継続的な努力が必要であり、セキュリティの向上と早期の脆弱性の特定が不可欠です。セキュリティの専門家とセキュリティベンダーのサポートを活用し、組織のセキュリティポストを強化しましょう。
 
以下に、ゼロデイ攻撃とその対策について説明します。
 
(1) ゼロデイ攻撃
 
①定義
ゼロデイ攻撃は、セキュリティの脆弱性が一般には知られておらず、ベンダーまたはセキュリティコミュニティが対策を開発する前に攻撃者がその脆弱性を悪用する攻撃です。
 
②手法
攻撃者は、ゼロデイ脆弱性を特定し、その脆弱性を利用する悪意あるコードを開発します。この攻撃コードは、システムやアプリケーションに侵入し、機密情報を窃取したり、システムを制御したりするために使用されます。
 
③危険性
ゼロデイ攻撃は、対策が存在しないため非常に危険です。被害を受けた組織は、攻撃が発生して初めて脆弱性を認識することが多く、被害が広がる前に対策を講じるのは難しいことがあります。
 
(2) ゼロデイ攻撃への対策
 
①脆弱性管理
組織は、セキュリティの脆弱性を迅速に特定し、修正するための適切な脆弱性管理プロセスを確立する必要があります。定期的なセキュリティパッチ適用と脆弱性スキャンが含まれます。
 
②サンドボックス環境
ゼロデイ攻撃の特性を理解し、検出するためのサンドボックス環境を導入します。サンドボックス環境では、悪意のあるコードが実際のシステムに影響を与える前に分析できます。
 
③ネットワークセグメンテーション
ネットワークをセグメント化し、セキュリティゾーンを設けます。これにより、攻撃者が全体のネットワークに侵入するのを難しくし、被害を制限できます。
 
④最新の脆弱性情報
セキュリティ情報共有機関やセキュリティベンダーからの情報にアクセスし、新たに発見された脆弱性に関するアップデートを受け取ります。
 
⑤セキュリティの意識向上
従業員と関係者に対してセキュリティの意識向上のトレーニングを提供し、不審なリンクや添付ファイルに警戒するよう促します。
 
⑥セキュリティソフトウェア
エンドポイントセキュリティソフトウェア、ファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)などのセキュリティソフトウェアを適切に運用し、ゼロデイ攻撃に対抗します。
 
⑦リサーチと脆弱性報告
セキュリティリサーチャーからの報告を受け入れ、脆弱性の発見に対する報酬プログラムを導入します。これにより、悪意のある攻撃者よりも善意のセキュリティコミュニティに協力を促します。
 
 

一般的なハッキングツールの紹介

ペネトレーションテストにおいて、セキュリティテスター(ハッカーとは異なり、合法的な許可を得てテストを行う専門家)は、さまざまなハッキングツールを使用してシステムやネットワークのセキュリティ脆弱性を評価します。
これらは一般的なペネトレーションテストツールの一部であり、セキュリティテスターがシステムとネットワークのセキュリティを評価するために使用するツールです。セキュリティテスターはこれらのツールを倫理的かつ合法的な方法で使用し、セキュリティ脆弱性の特定と修正を支援します。
 
以下は一般的なペネトレーションテストツールの一部です。
 
(1) Nmap
ネットワーク上のホストやサービスを調査し、セキュリティ評価に使用されます。
NmapはポートスキャンやOS検出、サービス特定、脆弱性評価など多くの機能を提供します。ユーザーフレンドリーなコマンドラインインターフェースを備え、さまざまなプラットフォームで動作します。セキュリティ専門家やネットワーク管理者は、Nmapを使用してネットワーク内のリソースをマッピングし、潜在的な脆弱性を特定します。
 
(2) Metasploit
脆弱性の検出と悪用に使用されます。
多彩なエクスプロイトモジュールやペイロードを提供し、脆弱性を利用してシステムやネットワークにアクセスできる能力を提供します。Metasploitは自動化された攻撃を実行し、システムの弱点を特定し、脆弱性を実証するために使用されます。同時に、セキュリティチームが脆弱性を修復する際のテストツールとしても活用され、セキュリティ対策の向上に貢献します。
 
(3) Wireshark
ネットワークトラフィックを監視・分析するために使用されます。ネットワーク通信のパケットをリアルタイムでキャプチャし、詳細なプロトコル分析やデータパケットの検査が可能です。Wiresharkは直感的なグラフィカルユーザーインターフェースを提供し、多くのネットワークプロトコルをサポートしています。セキュリティ専門家は、ネットワークの脆弱性や不正アクティビティの検出にWiresharkを活用し、パケットキャプチャを通じてセキュリティインシデントの証拠を収集します。
 
(4) Burp Suite
プロキシサーバー、スキャナー、リピーター、インターセプター、インストルメンテーションなど多くのモジュールを含み、ウェブアプリケーションの脆弱性を特定し、修正するのに役立ちます。
ペネトレーションテスターは、Burp Suiteを使用して、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング、セッションハイジャックなどの脆弱性を発見し、ウェブアプリケーションのセキュリティを向上させます。
 
(5) SQLMap
ウェブアプリケーションのデータベースに対するSQLインジェクション攻撃を実行します。
ユーザーフレンドリーなコマンドラインインターフェースを備え、ウェブアプリケーションの脆弱性を特定し、悪用するのに役立ちます。SQLMapは自動的にデータベースを検出し、データベース内のテーブルや情報を抽出できます。
 
(6) John the Ripp
パスワードクラッカーで、さまざまなハッシュ形式のパスワードを解読するために使用されます。
ユーザー名や辞書ワードリストと組み合わせて、暗号化されたパスワードを解析し、パスワードの総当たり攻撃や辞書攻撃を実行します。Johnは多くのハッシュアルゴリズム(MD5、SHA-1、NTLMなど)をサポートし、Unix、Windows、Webアプリケーションなど、さまざまなシステムで使用可能です。
 
(7) Hydra
パスワードクラッキングツールで、ユーザー名とパスワードの組み合わせを使用して、さまざまなサービスやプロトコルへのアクセスを総当たり攻撃または辞書攻撃を行い解読するのに使用されます。
SSH、FTP、HTTP、RDPなど多くのプロトコルをサポートし、ネットワークサービスのセキュリティアセスメントに役立ちます。
 
(8) Aircrack-ng
ワイヤレスネットワークセキュリティツールで、ワイヤレスネットワークのセキュリティ評価に使用されます。
WEP、WPA、WPA2などの暗号化されたWi-Fiネットワークのパスワードを解読する能力を提供し、ハンドシェイクキャプチャや辞書攻撃を実行します。
 
(9) Nikto
ウェブアプリケーションのセキュリティスキャンに使用されます。
自動的にウェブサーバー上の潜在的な脆弱性やセキュリティ問題を検出し、報告します。Niktoはさまざまなセキュリティチェックを実行し、クロスサイトスクリプティング(XSS)、SQLインジェクション、セキュアソケット層(SSL/TLS)の問題、不正なHTTPヘッダーなどを特定します。
 
(10) DirBuste
ウェブアプリケーションやウェブサイト内のディレクトリとファイルをフルースキャンするために使用されます。
辞書攻撃を実行し、既知のまたは隠れたディレクトリ構造を特定するのに役立ち、特にセキュリティテスターやペネトレーションテスターにとって有用です。DirBusterは多くのディレクトリおよびファイル名の変種をテストし、ウェブサーバーの設定エラーや脆弱性を発見するのに役立ちます。
 
(11) Owasp-ZAP
ウェブアプリケーションのセキュリティテストと脆弱性スキャンに使用されます。
自動および手動のセキュリティテストを提供し、クロスサイトスクリプティング(XSS)、SQLインジェクション、セッション管理の問題などを特定します。ZAPは柔軟なスキャニング機能、レポート作成、セッションレコーディングなどを備え、ウェブアプリケーションの脆弱性を特定し、修正するために役立ちます。
 
(12) Tcpdump
パケットキャプチャツールで、ネットワーク上の通信をリアルタイムでモニターし、パケットデータをキャプチャします。
さまざまなプロトコルやポート上のトラフィックをキャプチャし、データパケットの詳細な分析が可能です。セキュリティ専門家やネットワークエンジニアは、Tcpdumpを使用してネットワークトラフィックを監視し、不正アクティビティや攻撃の痕跡を検出するのに役立ちます。
 
 

ハッカーの視点から学ぶペネトレーションテスト(3) ハッカーの手法とツールのまとめ

ペネトレーションテストにおいて、ハッカーの手法とツールは多様であり、セキュリティ評価の一環として使用されています。
 
これらの手法とツールはペネトレーションテストを通じてセキュリティ脆弱性を特定し、組織のセキュリティを強化するために使用されますが、合法的かつ倫理的に使われる必要があります。